ついにプライムビデオで「万引き家族」の配信が始まりました。待ってました!と言わんばかりにさっそく視聴しました。
万引き家族の作品情報
公開日:2018年6月8日
年齢制限:R(17歳未満は親の同伴が必要)
注意事項:性描写あり。犯罪描写ふんだんにあり。
時間:120分
監督:是枝裕和
素晴らしい映画ですが、親の性行為という描写があるため、個人的にですが高校生になるまでは見せるべきではないと思いました。少なくとも小学生が見る映画ではありません。
↓↓↓↓以下、ネタバレあり!!↓↓↓↓
万引き家族のあらすじ
リリー・フランキー演じる柴田治は、妻の信代・息子翔太・妻の妹の亜紀・そして母親の初枝の5人で家族として生活をしていた。
しかしこの5人は実は普通の家族ではなく、息子の翔太はかつて拾ってきた子供だった。
貧困のど底辺で暮らす5人の収入源は以下の通り全員がヤバイ。
- 父親→日雇い労働と万引き
- 母親→パート勤めをしつつパート先で窃盗
- 息子→万引き、小学校には行ってない
- 母親の妹→JKパブ(風俗店)勤務
- 祖母→独居老人と偽り年金の不正受給
さらにある日この家族に近所の虐待児の「ゆり」が加わるんです。近所で所在なさげにしてるゆりを万引き家族が連れて帰っちゃうんですね。要するに誘拐なんですが、ゆりを家族に引き入れたことでこの家族の歯車が少しずつ変わり始めます。
▽予告編はこちら
万引き家族のキャストをレビュー
配役が素晴らしかったです。全員がはまり役!というか、俳優さんたちの実力かもしれませんが。
※以下画像引用:是枝裕和監督 最新作『万引き家族』公式サイト
柴田治:リリー・フランキー
東京タワーとおでん君でお馴染み、親父役のリリーさん。普段は脱力系おしゃれ親父のリリーさんですが、役の中では脱力系ダメ親父。まるで普段通りのリリーさんのような自然さ。
子供に万引きさせるスーパークソ野郎なのになぜだか憎めない治というキャラが生まれたのは、このキャラを演じたのがリリーさんだったからでしょうね。
全然かっこよくないけどこの人モテそうですよねー!
柴田信代:安藤サクラ
安藤さんは汚れ役をやらせたら今一番光る女優さんじゃないですか?以前にダメ女がボクシングで自分の殻を打ち破るっていう役を演じてましたが、あれも相当な汚れ役でしたからね。
惜しみなく脱ぐしすっぴんも晒す。そして底辺女の中の母性を今回見事に演じていて、涙は出なかったけど演技の上手さに引き込まれました。
柴田亜紀:松岡茉優
こんなかわいらしいアイドルの子がこんなやらしい役をやるなんて!って心配になったんですが、彼女はアイドルじゃなくてゴリゴリの演技派女優だったんですね。
万引き家族でいくつも賞を受賞されていますが、私の印象では家族の中で一番印象の薄い人物でした。
柴田祥太:城桧吏
彼の名前は「じょう かいり」君と読みます。2006年9月生まれなので、2019年の7月現在12歳。ウィキペディア情報ですが、7歳の時にスカウトされて芸能界いりとのこと。
・・・わかる!!
柳楽優弥君が「誰も知らない」に出た時と同じ衝撃でしたよ!この子供は顔がかわいいだけじゃない、只者ではないです。わずか7歳にして大手芸能事務所のスカウトマンの目に止まったのもわかるぅううう!!
万引き家族の受賞歴を見ると、ほとんどが監督か安藤さんか希林さんばかりなんですが、あの映画はこのじょう君がいてこそ、あの世界観が作れたと思うんですよね。私の涙を引き出したのも全部じょう君でした。
私は小生意気な子役が大嫌いなんですが、じょう君の将来性にはわくわくします!
ゆり(りん、北条じゅり):佐々木みゆ
映画出演時7歳のみゆちゃん。映画の中では拾われてくるゆりを演じるのですが、私はてっきり4歳か5歳くらいの子なのかな?って思いました。
7歳ってことはちゃんと演技してるってことですよね?まあほとんどセリフのない役でしたが、ちゃんと雰囲気を作れるすごい子役でした。私も同じ年の子供がいるので、普通の子供との差がわかるんですが、すごすぎて絶句するレベルの演技力です。
柴田初枝:樹木希林
希林さんが亡くなって、9月でもう1年ですよ。早いですね。希林さんが万引き家族で演じたのは、ボケ気味で意地汚い、けど優しいお婆ちゃん役でした。きったないボロ屋敷で、肉の入ってない鍋をみんなでつつくシーンなんか、本当に上手でした。
市原悦子さんに続いて希林さんもいなくなっちゃって、これからババアの役は誰がやるんですかね?希林さんがいない日本映画界は寂しいですね。
柴田家の家族構成をまとめてみた
万引き家族の柴田家の家族構成が、見ていてイマイチ理解出来なかったので、ノートに書いてまとめてみました。これを知っておいたほうが物語がすんなり入ってくると思います。
あ、でもネタバレが書いてあるので見終わった後で見たほうがいいですね。
ピンクのペンで囲った人たちが万引き柴田家の皆さんです。
一番ややこしかったのは、安藤さんと松岡さんが姉妹という設定。これは義理の姉妹だったんですね。安藤さんから見たら、夫の義理弟の子、つまり姪っ子って事?
希林さんの子供は安藤さんだって書いてあるサイトもあったんですが、ウィキペディアにはリリーさんの母親は希林さんて書いてあるし、たぶん親子関係は私が書いた図であってるはずです。
万引き家族を見た感想
監督、天才の人ですよね?
まずは是枝裕和監督なんですが、この人原案も脚本も監督も全部一人でやってるんですよ。もう映画やドラマなんて小説や漫画の実写化ばっかりの昨今、まったくのオリジナル作品を作る監督自体が珍しくないですか?
「東京のビル群の中にあるボロ屋敷で万引きをしながら生きている家族」なんて、それだけで面白そうな設定だし、リアルで、醜くて、でもそんな人間たちにも絆があることを描く。
うまい!!うまいよ!
余談ですが是枝監督の生い立ち調べたら、清瀬市の旭ヶ丘団地で育ったみたいなんですが、思いっきり私の友達の家の団地でびっくりしました。
俳優陣の実力も圧巻、そして子役が化け物
主に柴田家のむちゃくちゃなメンバーたちだけで物語が進むんですが、この6人のメンバーたちが本当に素晴らしい役者揃いでした。ついでに近所の駄菓子屋のジジイ役を柄本明さんが演じてたんですが、これがまたいい味出してるんですよ。
それぞれの役者が、まるで演技じゃないみたいなんでめちゃくちゃ引き込まれます。
そしてなんと言ってもキャストのレビューでも書いたんですが、子役の2人がすごいんですよ。特にお兄ちゃんの方は、彼の幼い純朴さと、成長するにしたがって生まれる迷いが視聴者をハラハラドキドキさせてくれちゃってもう!
犯罪行為の中にグッジョブ
柴田家の大人たちは皆無法者ばかりで、あらすじでも触れましたが、万引き親父、不正受給ババア、窃盗ママ、身売り姉さん、万引き手伝い息子というトンデモ野郎ばかり。
ダメなことばっかりするんですよ。もう、言い訳無用。やってることのほとんどが犯罪ですからね。
働きたくないからって万引きしたらだめでしょ
年金欲しさにおばあちゃん埋めたらだめでしょ
勤め先でお客さんの持ち物盗んじゃだめでしょ
家に居場所がないからって身体売ったらだめでしょ
なにより子供に万引きさせちゃあだめでしょー!!!
みんな健康なんですよ。働けるし、リリーさん演じる親父も絶好調に元気だし良いやつだし、ちょっとは働いてるんですよ。
でも足りない分は盗んでやりくり。万引きするし車上荒らしもする。ほんっとうにろくでもない。
でもそんな中でもただ一つ、これはやってよかった!犯罪だけどやってくれてありがとう!と思ったのは、
虐待されてる子供を誘拐して自分の家族にしたこと。
これはこの部分だけ聞くととんでもなく犯罪なんですが、万引き家族は近所の虐待されてる子供のゆりを拾って家に連れ込んで、大事にするんですよ。家族として迎え入れるんです。
とんでもないバカヤロウな家族なんですが、なぜだか子供を愛してるんですね。柴田家に連れてこられた虐待時の「ゆり」は、柴田家で幸せをつかむんです。まあ、大きくなったら犯罪者にさせられてたんだろうけど。
見てくださいよ、この幸せそうな家族の後ろ姿を。この人たちが万引き家族だなんて誰も思いませんよね。
娘のゆりが着てる水着なんてデパートの試着室でゆりに服の下に来させてそのまま盗んだものですから。
ポスターに「盗んだのは、絆でした」って書いてあるけど、なんか違いますね。盗んだのは水着だし釣り竿だしみかんだしシャンプーだし。絆は盗まなくてもあいつら最初っから持ってたみたいだし。
まあでも、ゆりにとったら自分が盗まれた先で家族の絆を手に入れてるので、あながち間違ってないんですかね。
この映画は結局何が言いたかったの?
万引き家族を見終わった後に、結局何が言いたかったんだろう?って考えました。ダメなやつらでも絆があるんだぜ、ってこと?
それとも、実は日本の底辺ではこんなふうに生きてる奴らもいるんだぜ、ってこと?
確かに、日本のすみっこでゴソゴソと悪いことをしながら虫みたいに生きてる家族の中にある純粋な愛みたいなものが見えたけど、結局私が感動したのは子供の無垢な愛に対してだけでした。
自分に犯罪を強いてくるようなクソ親でも、子供は愛しちゃうんですよ。悲しいほどに。その無垢さに泣けて泣けて。。。
いくらリリーさんや安藤さんが純粋な親心を見せても、平気で犯罪を犯すような人間の言うことなんか胸に響きませんよー。ダメダメ、どんな事情があっても、その犯罪の裏では、真面目に生きて働いてる人たちが被害にあってるわけですから。私はそういうの大嫌いですよ。
私は小生意気な子役をひねくれた目で見てるので、芦田愛菜ちゃんにも一度だって泣かされたことはないんですがね。今回はじょう君の演技に負けて途中2回ほど号泣してしまいました。
屈辱!
でも最高に面白かったです。とてもよくできた映画でした。
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