平成初期に社会現象にもなった漫画「オバタリアン」。アマゾンのKindle Unlimitedにラインナップされていたので読んでみました。
今出版されたら、女性への偏見だと叩かれそうな大変な問題作。でも、30年前と現在とで、中年女性の女性像がものすごく変わったのがわかる、実はとても興味深い漫画です。
さいしょに
まず、最初に読者の皆さんに言っておきたいことがあるんですが。
オバタリアンの表紙を見てドキッとしたんだけど、私のブログのプロフィール画像。
これ完全にオバタリアンじゃないですか。
さらにヘッダー画像もおばさんの群像。そしてブログの運営者の私も中年女性。完全にオバタリアンのパクリ?!
いや、違うんです。本当に。誓ってオバタリアンにインスパイアされての40ちゃんねるじゃないんです。たまたまなんです。
そんな、いらぬ誤解を招くほどに私のブログとキャラがかぶるオバタリアンについてレビューします。
オバタリアンの作品情報
「オバタリアン」は、1988年から1988年にかけて連載された堀田かつひこ氏による全13巻の4コマ漫画。平成初期の作品ですね。
1989年には「オバタリアン」という言葉が流行語大賞に選ばれ、またアニメ化がされるなど大きな社会現象になりました。
漫画の内容は、厚かましくて羞恥心がない、マナーの悪い中年女性たちの言動をひたすら風刺したもの。彼女たちは時に犯罪行為を犯したりもします。
オバタリアンに見る平成の女性像の変化
30年前の中年女性の容姿?
オバタリアンを読んでみると、彼女たちの連れてる子供たちがまだ幼子ばかりなんですね。幼稚園児とか。
ということはですよ、予想だと彼女たちまだ30代なんですよ。いってても40代前半くらい?それなのにこの描かれ方をご覧ください。
ちょっと待てよ、と。
確かにサザエさんが24歳っていうのもちょっと待て、ですが、オバタリアンが30代っていうのはあんまりじゃないですかね。
首に老化によるたるみで首輪のような現象が見えるのは、せいぜい60代以降じゃないですか?
いくら平成初期の時代とはいえ、30代40代の女性を捕まえてこの容姿の描写は無理がアリすぎますよねぇ。
30年前の中年女性の気持ち
30年前に30代というと、ちょうど今のアラフォー世代の母親世代の女性達です。当時彼女達はどんな気持ちでこの「オバタリアン」現象を見ていたんでしょうね。
だいたいどのエピソードもこんな感じの傍若無人なめっちゃくちゃに図々しい女性が登場します。
まあ、コメディ漫画なのでいちいち細かいツッコミはいれませんが、10年間、13巻にわたって、ひたすら延々とこういうエピソードが続いたんですよ。
当時中年女性達は自分たちがこんな風に描かれ続けて、世間が喜び続けたことをどんな風に感じてたんでしょうね。
実際私も、子供の頃母親やその周辺の女性たちが集っておしゃべりをしてる姿を見て、まさしくオバタリアンの集団だと思っていました。
中年のおばさんがワイワイやってる姿そのものがオバタリアンだという思想の植え付けですね。オバタリアンなどという概念がなければ、少女の私は母親たちをそんなふうに思わなかったはずです。
女性としてはなんとも悲しい話ですよね。子供にそんな風に見られるわけですから。
私の息子たちも、かしましくベラベラ喋りまくる私と友人の姿を「おばちゃんって。。。」という感じに見てるのかもしれませんが、具体的に中年女性をカテゴライズして笑い者にする言葉は存在しないので漠然と「中年女性はよくしゃべる」くらいは思ってるんでしょうね。
女性は若さを失って中年になったら価値が無く、女を捨てて人間性を失って、オバタリアンになっていくものだと、世間も女性自身も受け入れていたのでしょうか。
私は、筆者の執拗な女性SAGEに素直にむかつきますけど。逆に女性が執拗に男性をSAGEまくる話なんてありませんよね。あってもきっと世間は笑わないですしね。
現代の中年女性たち
平成が終わろうとしている現在の私達中年女性はどうでしょうか。自分を含めた周りにオバタリアンはいますか?
オバタリアン度のチェックシートがあるので見てみましょうかね。
結果はこちらということです。
ちなみに私が当てはまったのは、以下のふたつだけでした。
- きっぷをなくす
- バーゲン品を好む
だいぶオバタリアン度は低いみたいだけど、質問の意味がわからないので別に嬉しくないですが。
今の女性って、30代40代は当たり前で、50代や60代になっても美しく、女性らしさを失わずに人生を楽しんでる人がほとんどじゃないですか?
男子トイレに平気で入って、肌色の膝までのストッキングに大仏パーマなんて、いませんて。いませんよ。
「オバタリアン」はもう生まれない
今の時代に男性が女性をオバタリアンなんて呼ぶには、相当な覚悟が必要ですよね。時々政治家なんかが女性を見下した発言をしてフルボッコにされてるのを見ると、地位や名誉があればなおさらこのような発言は難しい。
ちょっとした発言で炎上したり、めんどくさい世の中だなぁと思うこともありますが、簡単に差別的な思想で盛り上がれなくなったのはいいことです。
さいごに
平成の始まりと終わりの30年の間に、女性像ってものすごく変わったんですね。確かに30年前の当時、オバタリアンという生き物はそんなに非現実的には思いませんでした。
おばちゃんって、厚かましくて羞恥心がなくてデリカシーがない、やかましい生き物という事で。
女性自体が変わったというのもありますけど、世の中が女性を、いや女性に対してだけではなく性別や年代でカテゴライズして評価するという事自体が容易に行われなくなりました。
そんなのがまったくもってナンセンスだと多くの人が思ってるからですね。
ここで私は思うんですよ。
30年前に女性軽視と偏見で作られてた「オバタリアン」という中年女性像。対して令和を生きる中年女性像を表現したのが、我らが西原理恵子氏の描く「りえさん手帖」だと。
若さと同時に女を失って見にくい生き物となる中年女性「オバタリアン」と、同じく図々しくて厚かましくて、でも女性らしさを捨てずに人情にあふれてて人生が楽しい「りえさん」。痩せたしね。
中年女性の女性像は、「オバタリアン」から30年の時代を経て、「りえさん」に変貌を遂げたんですね。独断ですが。
Amazon Kindle Unlimitedについて
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コメント
リターンオブザリビングデッドの邦題がバタリアンになるくらいの社会現象だったんですね!元ネタ初めて見ました笑
星の屑さん
私は逆に今初めてバタリアンの原題を知りましたw
バタリアン大好きです。私をホラー映画好きにさせたきっかけの映画です!
星の屑さん、さては若者もしくは帰国子女ですね?アラフォーの間ではオバタリアンを知らない人はいないんですよ〜(^ν^)