画像引用:あん公式サイト
アマゾンPrime Videoに「あん」が新登場しました。まだ見てない人は絶対みたほうがいいです!2019年度ベスト3に入る素晴らしい映画でした。
「あん」の作品情報
公開日:2015年5月30日
年齢制限:なし
注意事項:女性は永瀬正敏にハマる可能性大
時間:120分
監督:河瀬直美
為替監督はカンヌ映画祭でのグランプリを始め、幾多の映画賞を受賞してる凄腕女監督さん。来年2020年の東京オリンピックの公式記録映画の監督にも選ばれています。
「あん」のあらすじ
小さなどら焼き屋「どら春」の店長仙太郎は、いかにも過去になんかありやんすといった影の漂う中年おやじ(激かっこいい)。
そのドラ春にある日徳江という老婆が訪れて、アルバイトとして雇ってほしいと言い出すんですね。
当然仙太郎は「何言ってんのこの人?」という具合に体よく追い返すんですが、数日後に徳江がオリジナルレシピのあんこを持って「いいから食ってみろ!」と、仙太郎にむりやりタッパーに入ったあんこを渡しました。
戸惑いながらもタッパーのあんこを食べる仙太郎。しかもワイルドに手で。ドキュンとやられます。こちらが。
するとそのあんこの美味しさに驚いた仙太郎は、徳江を雇うことにします。
どら春のどらやきが美味しくなったという評判はあっという間に広がり店は大盛況に。お金に困っていた仙太郎も、働きたかった徳江もWinWin、どらやきが美味しくなったお客さんもWin。
しかし話はそれでは終わらないんですね。徳江の手が不自由なことに気がついた意地悪な近所のババアが、徳江のことに関するある憶測を噂し始めると、どら春からこれまたあっという間に客がいなくなります。
そして徳江も消えてしまいました。徳江の手には一体どんな秘密があったのでしょうか。。。
▼予告編だけでも涙がじわっときます
「あん」のキャスト
なんでこうも絶妙なキャスティングができるんですかねー。日本には素晴らしい俳優さんがたくさんいます!
徳江:樹木希林
画像引用:あん公式サイト
あんを作り続けて50年のあんこの番人徳江76才。
実際に希林さんがあんこを作れるのかは知りませんが、あんこの達人にしか見えません。「万引き家族」の時と同じ「人のいいババア」設定ですが、あの映画とは全然違うかわいらしい希林さんが見れます。
仙太郎:永瀬正敏
画像引用:あん公式サイト
どら春の雇われ店長。客には塩対応、あんこは業者から仕入れたやつを使うという「やる気あんの?」と突っ込みたくなる前科持ちのダメ中年。
しかしとにかくかっこいい。かっこよすぎる。
こんなどら焼き屋があったら、まずかろうと高かろうと毎日行列できると思います。近所にあったら私は確実に毎日通います。
ワカナ:内田伽羅
画像引用:あん公式サイト
どら春の常連である近所の貧乏中学生ワカナ。徳江とも仲良しになります。
モッくんとややこの娘であり、父母は内田裕也と樹木希林というものすごい芸能一家から排出された伽羅ちゃん。
しっかりした顔つきとあどけなさがとってもかわいいです。でも。。。かわいいけどコネで出てませんか?
劇団で叩き上げられた子役上がりの実力派中学生がごまんといる中、ド素人感丸出しの伽羅ちゃん。
そのド素人感が味といえば味ですが、希林さんのコネじゃなければなぜこの子なんだ?と言いたくなるほど、ワカナはいてもいなくてもどうでもいいキャラクターになっていました。
佳子:市原悦子
画像引用:あん公式サイト
徳江と同じ施設で暮らしている長年の友人。実はちょい役です。
意外にも希林さんと悦子さんはこの「あん」が初めての共演でした。最初で最後のレジェンド共演です。同じスクリーンに伝説が2人。
このシーンが見れるだけでもすごいことです。この「あん」でしか見れませんよ!
↓↓↓↓↓以下、ネタバレあり↓↓↓↓↓
あんを見た感想
あんで描かれる、静かさの中に散りばめられた人情と暖かさ、厳しさは、わびさびを現代風に表現してると言いたい。しかもテーマが和菓子。
邦画のいいところが凝縮されたような作品です。 他の作品は見たことないですが、川瀬監督の大ファンになりました。
全生園とハンセン病
いきなりネタバレから行きますが、この話って要するに元ハンセン病患者の徳江が人生の最後に隔離施設から出てきてどら焼きやで「あん」を作るというお話なんですね。
ハンセン病は昔はらい病と呼ばれていて、手足が麻痺したり皮膚が溶けたかのような容姿になることから人々から感染を恐れられていました。
そしてハンセン病にかかった患者は収容施設に隔離されました。隔離の絶対条件として、男性も女性も「断種」と呼ばれる手術を受け、子どもを作れない体にされます。
種を断つって人権侵害の最たるものじゃないですか。
映画にも出てくるハンセン病の隔離施設「全生園」がある東京都東村山市は、私が育った街から近く、大きな通り沿いなので私は何度も横を通ったことがあります。
全生園は独特の静けさと、緑に覆われた向こうに見える秘密の建物といった佇まい。近隣住人もハンセン病のことを良く知っていて、今はわかりませんが20年前までは全生園の住人に対する差別はまだバリバリにありました。
実際に私も全生園の横を通る時はちょっとした緊張感がありました。
「あん」ではそんな全生園の中で暮らした人の人生が、徳江を通じて描かれています。
ひどい差別と隔離された人生の中でえがいた「一度お仕事をしてみたかった」という徳江の夢が叶う話なんです。
前科持ちのどら焼き屋店長
秘密の過去があるのは徳江だけじゃなく、店長の仙太郎もでした。仙太郎は以前働いていたバーで喧嘩の仲裁に入り、相手に怪我を追わせてしまったのです。そして塀の中へ。
前科者が刑期を終えてシャバに出てきた後、社会で更生してやり直すのは並大抵のことじゃないはずですよね。
そんな中でやっと手に入れたどら焼きやで粛々と働く仙太郎。
永瀬正敏さんがこの仙太郎の哀愁を演じるのがうますぎるんですよ。なんなら、未だにキョンキョンとの離婚を背負ってしょぼついてんのかな?って、プライベートまで心配になるような哀愁。
しょぼくれ親父の仙太郎が徳江に徐々に心を開いていく姿に胸が熱くなるのは私だけではないはず。
ああ、私も徳江になりたい。今日からあんこ炊いてみるかな。
「あん」から私が受け取ったメッセージ
ハンセン病によって尊厳や自由を奪われた彼女が、じゃあ、自分はなんのために生まれたのか?っていう葛藤の末に見つけた答えが
私達はこの世を見るために、聞くために、生まれてきた。
という言葉。
仙太郎のように人生がハードモードになってしまった人や、失敗を繰り返してる人、孤独に打ちひしがれてる人、全ての人たちに優しい言葉ですよね。
生まれて、生きてるだけで役目を果たしてるんだよと。
何者かになんてなれなくても、生きてこの世を見て聞いてるだけでいいんだと。
人がそれぞれ人生で目の当たりにするあらゆるハードルを取っ払ってくれる言葉だと思います。
徳江が言うから説得力があるんですがね。これがニートとか不登校ユーチューバーのゆたぼんなんかが発言したりしたらまた炎上モノですよ。あ、ちなみに私のような自宅警備員が言うのも説得力ゼロ。
徳江の言葉で、希林さんの声で聞くから、優しく体にすっとしみます。
そんな徳江の最後の言葉を聞いた仙太郎が最後に見せる笑顔で、トドメを刺されますから。見逃しちゃなりませんよ。
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