2019年度の「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本2019年本屋大賞」にノミネートされている、瀬尾まいこ氏の小説「そして、バトンは渡された」を読んだのでレビューします。
※追記:本屋大賞受賞しました!(2019年4月9日)
著者瀬尾まいこ氏のプロフィール
画像引用:マガジンワールド
- 1974年大阪府生まれ
- 大谷女子大学国文科卒業
- 前職は中学校の講師
- 2001年に「卵の緒」で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞。
本屋大賞という賞について
- 2004年にNPO法人「本屋大賞実行委員」が設立した文学賞。
- 直木賞や芥川賞などは作家が審査員になって賞を選ぶのに対して、本屋大賞は本屋さんで働く店員さんが投票する、というちょっと風変わり選考方法を採用してる。
- 私は個人的に本屋大賞にノミネートされる作品が好きです。なぜなら読みやすい小説が多いから。
- 2019年の本屋大賞の発表は4月9日。
過去の本屋大賞受賞作
- 2004年 小川洋子 博士の愛した数式
- 2006年 リリー・フランキー 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
- 2007年 佐藤多佳子 一瞬の風になれ
- 2009年 湊かなえ 告白
- 2011年 東川篤哉 謎解きはディナーのあとで
映画化やドラマ化もした大ヒット作ばかりですね!
すでに受賞作
ちなみにこの「そして、バトンは渡された」はすでに以下の賞にノミネート・受賞しています。
- 第31回山本周五郎賞にもノミネート
- ブランチBOOK大賞2018では既に大賞を受賞
「そして、バトンは渡された」のあらすじ
17歳の優子は現在3人目の父親(血がつながってない)の森宮と2人で暮している。
優子には実の父と母の他に、父が2人母が1人いる。次々と大人の都合で親が変わっていく中で、しんどい思いもありながらも、どの親にも愛情を注がれてきた。
本当の親じゃないけど、優子にはみんなが親で家族なのだ。葛藤しながらも新しい親たちを受け入れる優子と、優子を愛する親たちの人生の物語。
「そして、バトンは渡された」の感想 ※ネタバレ注意
こんな人間はいない
読み始めてしばらくの間は、大人の間をたらい回しにされてるかわいそうな女子高生優子が、いつひどい目にあってそこから救いがあってお涙頂戴になるという悲劇を期待しました。
でもなかなか優子はひどい目に会わないどころか、身勝手な大人たちがみんな優子に優しくて、それぞれがそれぞれなりに優子を一生懸命愛して大切にしてるんですよ。
いやいや、そんなわけない。こんな人たち現実にはいませんよ。
自分の生活もままならないし、育ちが悪くて自己肯定感も低かったり、社会不適合者だったり、わけありで孤独な人間なんて、よその子供を愛する器なんてあるわけないんです。
自分がそうだからよくわかるんですよ。
人間ってのはもっと薄汚くて卑怯で自分勝手な生き物です。毎日のニュースで流れてくる話題なんてそんなことで埋め尽くされてるじゃないですか。
子供の悲劇、大人の悲劇、妬み僻み、貧困、そういうことばかりが渦巻いてるのが世間てものです。
だからこの物語に出てくる人物達が、自分の本当の子供でもない優子に必死に愛情を注いでる姿が不自然で理解できませんでした。
誰の心にもある心の温かさを思い出させてくれる
でも読み進めていくうちに、確かに私の中にもこの話に出てくる人たちみたいに、理屈抜きで人を思いやる気持ちや、損得勘定抜きにして相手を喜ばせたい気持ちがあったことを思い出したんです。
家族と子供を守るために、いつの間にか世間というものは「敵」みたいな目で見てる自分に気がついて、自分自身に驚きました。
無意識のうちに、いつしか私の心はとても殺伐としていたみたいです。
人間は確かに悪い側面があって、現代ではそこばかりに焦点があたりがちですが、キレイ事ではなく人に優しい気持ちを持つこともあって、それも確かに人間の持つ側面なんですよね。
キレイ事ばっかり言ってんじゃないよ
って思ってたのに、グイグイと自分の中の優しい気持ちが引き出されて、最後は自分の中の「悪」が負けてしまいました。
用意するもの、メモ用紙・ティッシュ
物語の中には、心から子供を愛してる親からしか出てこない名言が散りばめられています。
日常の中で何度も反芻したくなるような素敵な言葉で、思わずメモをとって冷蔵庫に張っておきたくなるような。
ぜひ、メモ用紙と鉛筆を用意しておくことをおすすめします。
お母さんもメモったわ。
そして後半に入ると、前半にしかけておいた伏線を拾い始めるんだけど、伏線を拾うたびに涙がビャッと出るほど泣かされるので、ティッシュの用意もお忘れなく。
バトンを渡すその日まで
いつか私にも、私の子供をを愛してくれる誰かに愛情をバトンタッチする日が来る。その時が来るまで、私のバトンは落とさないように大切に運ぼう、って思いました。
いやー、こんなに泣かされるとは思ってなかったわ〜!
物事のキレイな上辺だけをすくって描いたような軽い物語なのに、なぜか心を深くえぐってきました。
本屋大賞受賞も納得です、本当にいい作品でした。これからどんどん映像化されて話題になっていくんでしょうね!
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